「それいけ!アンパンマン」に関する情報を掲載している非公式のサイトです。
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おはなし
ある日、カレーパンマンが空を飛んでいると、女の子がつり橋を渡っているのを見つけました。
「ぐらぐらぐっらったーん、おいしいぐっらったーん…きゃあっ!」
女の子が落ちそうになったのでカレーパンマンはすかさず助けました。その子はグラタンちゃんと言って、おいしいグラタン作りを学ぶための旅から帰ってきたところでした。
グラタンちゃんは助けてもらったお礼に、手持ちの材料でグラタンを作ってくれました。材料をリュックに入れて背負っていたので、この前のように落としてしまうことがなかったのです。さっそくカレーパンマンは食べてみました。
「うーん…」
どうしたことでしょう。カレーパンマンは一口食べるなり、目を回して倒れてしまいました。グラタンちゃんはびっくりして走っていってしまいました。そしてグラタンちゃんの上を何者かの影が通り過ぎていきました…。
「どうして…練習しておいしくなったはずなのに…。」
一方、町ではメガネをかけたグラタンちゃんみたいな人
がみんなを集めて何かをやっています。つみきの塔のような天下無敵のズダダンダンのようなメロディで歌を歌いながらグラタンを作っているようです。
♪グラタンタン タンタタン歌い終わった頃には、みんな出来上がったグラタンを食べて目を回していました。グラタンちゃんみたいな人は満足そうな顔をして、服を脱ぎ捨ててどこかへいってしまいました。グラタンちゃんみたいな人はばいきんまんの変装だったのです。
グラタンタン タンタタン
グラグラグラタングラタングラタン
グラタタタン グラタンタン
ホタテにウニにロブスター
高級食材ふんだんに
おいしいマカロニグラタンを
作るわ私 グラタンちゃん
どうだ うまいぞ 文句あるかオイ
なんーだなんだ なんなんだ
なんなんなんなんなんなんなんなんだー♪グラタンタン タンタタン
グラタンタン タンタタン
グラグラグラタングラタングラタン
グラタタタン グラタンタン
私はグラタン作るんだ
泣く子も眠るすごい味
倒れるほどのおいしさの
グラタンいっぱい作るんだ
どうだ うまいぞ 文句あるかオイ
なんーだなんだ なんなんだ
なんなんなんなんなんなんなんなんだー♪グラタンタン タンタタン
グラタンタン タンタタン
グラグラグラタングラタングラタン
グラタタタン グラタンタン
食べない人よ どこにいる
あなたの分は これなんだ
残しちゃダメよ もったいない
食べればあなたも夢の中
どうだ うまいぞ 文句あるかオイ
なんーだなんだ なんなんだ
なんなんなんなんなんなんなんなんだー
そんなことは知らない本物のグラタンちゃんが町へ向かって歩いていると、向こうからカバオくんたち

がやってきました。
「ひどいよグラタンちゃん!あんなまずいものを食べさせるなんて!」
「まずすぎて目が回っちゃったぞー。」
でも、身に覚えのないグラタンちゃんは納得がいきません。
「じゃあ今から作るから食べてみてよ。びっくりするんだから!」
そう言ってグラタンちゃんはせっせとグラタンの準備を始めました。ところが…
「いーらない。」
「まずくてびっくりだぞー。」
「そこまで言わなくても…。」
「じゃあウサコちゃんは食べるって言うの?」
「それは…」
「ほらね!やっぱり食べたくないんだ。行こ行こ!」
こうしてみんなは行ってしまいました。グラタンちゃんのプライドはもうずたずたです。去っていくみんなを見てしょんぼりしているグラタンちゃんのところにばいきんまんたちがやってきました。
「やーやーグラタンちゃん。かわいそーに。みんなから嫌われてしまったんだね。かわりにおれさまが食べてあげよう。」
「いーっぱい作ってちょうだい!」
「いやよ!まずいものなんか人様に食べさせられないわ!」
カレーパンマンを倒れさせてしまった上にあんなことまで言われてはグラタンを作る気にはならないのです。
「ちょっとばいきんまん!話が違うじゃないの。」
「作らないんならこうしてやるー!」
とうとう業を煮やしたばいきんまんが襲い掛かってきました。そのとき、アンパンマンがやってきて助けてくれました。しかし、ばいきんまんはグラタンちゃんが作りかけていたグラタンを投げて攻撃してきたのです。
「顔が汚れて力が出ない…。」
「ええっ、そんなぁ…。」
「早くジャムおじさんに…」
「うそよ!あたしのグラタンが汚れてるなんて!ぜったいにー!」
グラタンちゃんは泣きながら走っていってしまいました。その後すぐにカレーパンマンがやってきて、ばいきんまんをやっつけてくれました。カレーパンマンはアンパンマンに事情を話し、一緒にグラタンちゃんを探しに行くことにしました。
グラタンちゃんは森の中で泣いていました。
「もうやだ!二度とグラタンなんて作らない!」
もう嫌になってしまって、グラタンちゃんは材料の入ったリュックと、トレードマークの帽子を捨ててしまいました。今までずっといっしょうけんめい練習してきたのがばかみたいです。
すすり泣きながら歩いていると、いつしか森を抜けて、町の広場に出ていました。広場では、バタコさんが一人で何かを片付けているようでした。
「あら、グラタンちゃん、戻ってきたのね。お片付け手伝ってくれるかしら。」
一方アンパンマンは、いったんパン工場で新しい顔に変えてもらってから、カレーパンマンと一緒に森でグラタンちゃんを探していました。そして、森の中に無造作に捨ててある帽子とリュックを見つけました。
「グラタンちゃんに何かあったのかな。」
「急ごうぜ。」
二人はそれぞれ帽子とリュックを拾い、引き続きグラタンちゃんを探して飛んでいきました。
町の広場は、もうずいぶん片付いたようです。グラタンちゃんももう泣き止んだようです。
「でもみんなはグラタンちゃんが作ったって言ってるわ。」
「あたし、ここに来たのも今が初めてなのよ。」
「ふしぎね。」
そのとき、ばいきんまんたちがまたやってきました。
「今度こそグラタンよこせー!」
なんて言いながら、いきなり大きなハンマーを振り下ろしてきました。ドキンちゃんは言ってることとやってることが違うとあきれています。そのとき、アンパンマンたちもまた駆けつけました。
「やめるんだー。ばいきんまん!」
「何とか間に合ったようだな。」
アンパンマンは、グラタンちゃんの帽子を抱えたまま、片手でばいきんまんをやっつけてしまいました。
「あーあ。結局グラタン食べられなかったじゃないの。」
そう言って逃げようとするドキンちゃんの前に、アンパンマンが立ちふさがりました。
「どういうことか、聞かせてもらおうかな!」
逃げられなくなって、ドキンちゃんは気まずそうに本当のことを話してくれました。グラタンちゃんのグラタンを独り占めしたかったこと、そのために他の人が食べたがらないようにみんなをだましたこと、全部話してくれました。
「オレも謝らなきゃ。実はオレ、辛いのしか食べられないんだ。まずくてぶっ倒れたわけじゃないんだぜ。紛らわしいことしてゴメンな。」
「だから元気出して。もう一度作ってみようよ。」
そう言って、アンパンマンはグラタンちゃんに帽子をかぶせてくれました。カレーパンマンも材料の入ったリュックを返してくれました。
しばらくして、広場にみんなが戻ってきました。グラタンちゃんの持っていた材料だけでは足りなくなったのでジャムおじさんも材料を持ってきてくれました。グラタンちゃんはいっしょうけんめいグラタンを作っています。ばいきんまんみたいに変な歌を歌ったりしません。
「本当に食べられんの?」
「ん。おいしー!」
「ほんとだー!とってもおいしいよ!」
「おいしくてびっくりだぞー。」
最初は不安そうにしていたグラタンちゃんでしたが、みんなのおいしく食べる顔を見て、グラタンちゃんにも笑顔が戻ってきました。
「あーあ。ばいきんまんにも食べさせたかったな…。」
「はい!これ。」
ひとりだけまだ気まずそうにしているドキンちゃんに、グラタンちゃんは持ち帰り用にグラタンを包んでくれました。
「温めなおせばおいしく食べられるわ。」
「いいの?」
「今度からは普通に食べに来てね。」
おわりに
グラタンちゃんは、アンパンマンとグラタンちゃんに登場したキャラクターです。
当初すごくまずいグラタンしか作れなくて、ジャムおじさんのところでグラタン作りを教えてもらいました。
なので、今はおいしいグラタンを作れるはずなのですが、旅に出たっきり今までまともな形での再登場がありませんでした。グラタンがおいしくなったという設定でも、再びまずくなったという設定でも面白いと思うのですが、一向に出てくる気配がありません。
そこで、両方を活かせる形で話を考えてみました。今回は画像なんかも使って、いつもとは違う感じで書いてます。
ちなみに、アンパンマンの「顔が汚れて力が出ない…。」にグラタンちゃんがショックを受けるシーンを入れていますが、本当はゲストキャラの食べ物で顔が汚れた際には力が出なくなった理由を言いません。ゲストキャラに失礼だからでしょうね。
8月20日追記
…なんて言っていたら公式にグラタンちゃん再登場の話ができていました。
私の考えた話と似たようなものになるのか、全く違う話になっているのか、楽しみなところです。
ともかく、グラタンちゃん好きとしては嬉しいことです。