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「いってきます!」
クリームパンダちゃんが元気よくパン工場を飛び出していきました。
でも、夕方になっても、クリームパンダちゃんは帰ってきませんでした。
パン工場のみんなは、心配になって探しに行きました。
町の人に聞いても、クリームパンダちゃんの行方はわかりませんでした。
ロールパンナちゃんを訪ねても、わかりませんでした。
ばいきんまんを問い詰めても、知りませんでした。
何日も、何日も、探し続けました。
あちこちの国に行くたびに尋ねましたが、わかる人はいませんでした。
もしかしたらカスタードの国に帰ったのかな、と思ってカスタードの国を訪れましたが、やっぱりいませんでした。
あれからどれほどの年月が経ったでしょうか。
クリームパンダちゃんの話をする人は、もう誰もいません。
メロンパンナちゃんも、すっかりおばあちゃんです。
メロンパンナおばあちゃんがパン工場でくつろいでいると、町の子供たちが駆け込んできました。
「大変だ!洞窟の中で誰かが倒れてる!」
メロンパンナおばあちゃんが洞窟に行ってみると、奥のほうで、誰かが岩の下敷きになって倒れていました。
体の上半分は岩の下でわかりませんが、岩の隙間から見えているその足は、あの見覚えのあるかわいい足は…
「クリームパンダちゃん!」
メロンパンナおばあちゃんは、衰えた体で力を振り絞って、岩をどかしました。
何十年もほったらかしにされた顔はすっかり真っ黒になっていましたが、確かにクリームパンダちゃんでした。
「メロンパンナ…おねえ…ちゃん?」
クリームパンダちゃんは濁った眼でこちらを見ると、絞り出すようにつぶやき、また気を失いました。
メロンパンナおばあちゃんはすぐにクリームパンダちゃんをパン工場に連れて帰り、新しい顔を焼きました。
「わあい!これで元気いっぱいだあ!」
元気になったクリームパンダちゃんは大喜び。
「助けてくれてありがとうね!絶対来てくれるって信じてたよ!」
そのとき、クリームパンダちゃんは気付きました。
「あれ、メロンパンナおねえちゃん…ふけた?」
「あれからもう何十年も経ったのよ。私はもう、おばあちゃんなの。」
「そっか…長い間、ごめんね。」
クリームパンダちゃんはあたりを見回し、本当に何十年も経ったのだと悟りました。
「そうだ、ジャムおじさんにも謝らなきゃ!ずっと心配かけてごめんねって。」
「こっちよ。」
メロンパンナおばあちゃんはクリームパンダちゃんを工場の裏の小さな広場に連れて行きました。
そこには、勇気の花が一輪添えられた、小さなお墓がありました。
「ジャムおじさんよ。ずっと眠っているの。」
「ジャムおじさん…ずっと心配かけてごめんね。ぼく、元気だよ。」