偶然とプレイ時間

パズルゲームの楽しさのひとつに、状況の多彩さ、というものがあります。
例えば、コンピューターゲームでなくとも、ジグソーパズルでは、1000ピースもあれば、1001!*4通り、桁数にして実に250桁以上にもなります。
つまり、状況が多彩ということは、それだけ考える幅が広いということでもあり、手ごたえがあり楽しいということです。
市販のパズルゲームにやたらとステージ数が多いのはそのためでもあります。(個人開発でも精力的にステージを増やしている方は多いのですけどね)
しかし、アクションパズルとなると、状況が変わってきます。
難しく手ごたえのある条件を与えられても、それの攻略法を考える暇なんてないのです。
次々と現れる対象を次々と処理していきながら、その一方でよりよい攻略法を探す、ということになります。
そんな一時しのぎのいい加減なと攻略法を探しつつの頭脳プレイが並行する状況が常にある以上、プレイヤーが作る状況は無限にあるわけで、ゲーム側からも、無限に多い状況を与えなければなりません。
その無数の状況は作成者が考えるのもひとつですが、プレイスタイルがアバウトなものである以上、出来上がる状況もアバウトで、何が出てくるかわからないぐらいがいいでしょう。つまりランダムです。
アクションパズルでは、このようにして生み出されたランダムな対象を処理して大きな結果を出すと、ことに小さな処理が引き金となって起こる大きな結果(主に連鎖)を出すと、大きな快感となります。
連鎖は本当に簡単なシステムであるのにそれなりに楽しむことができて、非常に多くのパズルゲームで採用されています。
しかし、手軽で快感でみんなやっているがために、困った状況が起きてきます。
連鎖の快感の麻痺です。
例えばカービィのきらきらきっずは、'きらきら'を降らせることで連鎖を継続させますが、そのせいででたらめにブロックを落としていっても勝手に6連鎖とか7連鎖とかそれ以上が出まくって、プレイしている実感が非常に希薄です。
そう、状況がランダムであるにもかかわらず、それによって起こることがランダムになりすぎてはいけないのです。
でも、いったん連鎖が始まっちゃうともう制御できないから運を天に任せるしかない、という発想を覆すことでできたのが、連鎖が始まってもお構い無しに対象を処理できるパネルでポンです。今回お手本にしました。
この'アクティブ連鎖'というシステムの良いところは、連鎖が続く快感と、それを制御して出せるという達成感が同時に得られることであり、かなりの難易度があっても、むしろあるがゆえに、熱中させる効果があるということです。
そのため、パネルγでもこのシステムを全面的に採用しています。

しかし、このシステムは大きな問題を抱えています。
それは、難易度の低下です。
パネポンではもともとアクティブ連鎖にかなりの難易度があったため、ちょっとしたミスから容赦なくゲームオーバーになり、難易度は適正でした。
しかし、パネルγの場合はそうはいきません。
コンセプトのひとつとして、ちょっとしたミスでも容赦する。ピンチになっても容赦する。ピンチのときでも「まだいける!」と思わせる。というのがあったのです。
そうすると、難易度低下の影響をもろに受けてしまいます。
いつまで経っても終わらないという悲劇が起こりかねません。
残念ながら、パネルでポンでも非常に熟練した人ならこの悲劇に陥ってしまいます。
だったら難易度を時間と共に無制限に上げればいい。しかし、その勢いは強すぎるとピンチになる時には既に手が付けられないほど難しくなっている。容赦する暇すらない。そのためプレイ時間を犠牲にして難易度上昇をかなり緩やかにしました。
その点メテオスはよくできてるなと思ったりしています。
勝負が付くのはたったの3分!この中に小さなきっかけをどでかくする達成感もそれを一気に処理できる快感もピンチに「まだいける!」思わせることも、それでいながらゲームオーバーまでもが綺麗に収まっている。(画面中に埋まったメテオを一発で吹っ飛ばせるのはすごいね)
パネルγでのタイムアタックやパズルモードは延々と続くエンドレスに自分自身嫌気が差して作ったゲームモードだったような気がします。
逆にプレスブレイカとコンボメイキングはプレイが長引きそうだったために却下してしまいました。